【観劇】劇団四季『CATS』18/01/30 ソワレ
忘れてはいけない 猫は犬にあらず ――『猫からのごあいさつ』
こんにちは、やすみです。
1月の終わりに一番好きなミュージカル『CATS』を観劇してきたので、今回はその感想をまとめていきたいと思います。
この日はリハーサル見学会というイベントもあったのですが、そちらのレポも後半に少し書きます。
画像はキャストボードです。
※少しネタバレも含まれます。まだ観たことのない方はご注意ください。
あらすじ
満月が青白く輝く夜、街の片隅のゴミ捨て場。
たくさんのジェリクルキャッツたちが、年に一度開かれる"ジェリクル舞踏会"に参加するため集まってきます。
人間に飼い馴らされることを拒否して、逆境に負けずしたたかに生き抜き、自らの人生を謳歌する強靭な思想と無限の個性、行動力を持つ猫
それがジェリクルキャッツ。
そして今宵は、長老猫が最も純粋なジェリクルキャッツを選ぶ特別な舞踏会。
再生を許され、新しいジェリクルの命を得るのは誰か。
※公式HPより
登場するキャラクターは全員猫、という独特なミュージカル。
猫しか出て来ないので、台詞も少なく、彼らが歌って踊り「自分こそが選ばれるに相応しい!」とアピールするところを観る舞台です。
自信に満ち、自由に生きる猫たち。そんな彼らに嫌われ、のけ者にされている猫がいます。
それが、娼婦猫 グリザベラ。
この作品は猫たちの物語であり、グリザベラが再生を許されるまでの一夜の物語です。
キャスト
個人的な目玉は『マンカストラップ 萩原隆匡』さん!
約半年ぶりのキャスティングになります。昨年の後半はほとんど『アラジン』の方に出演なさっていて、カシーム役とジーニー役をなさっていたようです。
なぜ目玉かというと……私が初めて『CATS』を観劇した際にマンカストラップを演じていたのが、この萩原さんだからです!
半年、この日を待ちわびていたのですよ……! もう一度、萩原さんの演じるマンカストラップが観たいと願って願ってようやく! 観ることが叶いました!
また、『マンゴジェリー 斎藤洋一郎』さんもすごく楽しみにしていました。
この方も私の初観劇キャストでしたので、この日の観劇は楽しみづくしでした。
マンカストラップの仕草
オーヴァチュアのあとに始まる『ジェリクルソング』。
その第一声を放つマンカストラップは、舞台と観客を繋ぐ役割を持ちます。
萩原隆匡さんの演じるマンカストラップは、特に強く観客を惹きつける力を持っているように感じました。
舞台に登場して、一言「生まれたのか」と発し、白黒の縞模様の大きな彼から目を離せなくなる方も多いのではないでしょうか。
この日、特に心に残ったのは、『グリザベラ 娼婦猫』の場面のマンカストラップの表情です。
このときマンカストラップはグリザベラを見つめ、そして目をそらし、彼女が去っていくのを見送ります。
嫌われ者のグリザベラですから、これまで私が観てきた別の俳優さんのマンカストラップは厳しい表情で彼女を見送っていきました。
マンカストラップは群れのリーダー的存在ですから、そうするのも納得してきました。
しかし、萩原さんのマンカストラップは、どうも他のマンカストラップとは違って見えます。
グリザベラを見つめる目にはどこか苦しげな、後悔や葛藤の色が滲んでいるように思いました。
彼女から目をそらす際も、見送る際も、こちらの胸を締め付けるほど苦しそうな表情でした。
そして彼は、去っていくグリザベラを見送る際、右手を胸にあてます。まるで彼女に謝っているかのように。
この場面の何とも言えない緊張感は、一見の価値ありです!
グリザベラの悲壮
この日のグリザベラ役は木村智秋さんでした。
木村さんのグリザベラは、本当に悲壮感の強いグリザベラだと思います。
嫌われ、のけ者にされ、悲しみに満ちた孤独な猫だと感じました。
特に『グリザベラ 娼婦猫』ではその色が強まり、この日の公演でこの場面が一番泣きそうになってしまいました。
若く美しかった過去に縋り、強がって見せているものの、自分のことは自分がわかっている、自分が今どれだけみじめな存在か自分が一番わかっている……。
そんな風に見えるグリザベラでした。
ラストの『メモリー』も圧巻です。
無意識に拍手をしてしまいそうになる、という経験はこれまでで初めてでした。
気高さを取り戻した彼女は、本当の幸せを知った彼女は、天上に昇るただ一匹の猫に選ばれるにふさわしいと心から思えます。
リハーサル見学会
この日は公演前にリハーサル見学会というイベントが行われました。
平日お昼の開催であるにも関わらず、受付開始時間にはもう人、人、人!
改めて『CATS』と劇団四季の人気を見せつけられた気分です。こんなに多くの人に愛されている舞台に出会えて、人生ちょっと得したなあと感激しました。
見学した場面は『ジェリクル舞踏会』というダンスナンバーの後半部分。
ダンスキャプテンはランペルティーザ役の山中由貴さんで、丁寧に振付に込められた意味を俳優たちに伝えていく姿が印象的でした。
激しいダンスが続くこのナンバー、真剣な目つきで山中さんを見つめる俳優たちは、もはや殺気に近い(すみません)空気を醸し出していて、この緊張感があの素晴らしい舞台を作り上げているのだと感動です。
後半の質問コーナーでは、司会進行役にジェニエニドッツ役安宅小百合さんが登場。
続いてグリザベラ役木村智秋さん、タントミール役村上今日子さん、ランパスキャット役荒木啓佑さん、カーバケッティ役桒原駿さんが登場。
リハーサル直後の登場で、息が切れたまま一生懸命に進行しようとする安宅さんのお人柄がすごく素敵でした。
参加者から集められた質問ボックスは荒木さんが持ち、そこから安宅さんが質問の紙を取り出す方式。
BGMを誰かに口で(!)言ってもらうなど、終始和やかな雰囲気で進みました。
「猫メイクで時間がかかるところは?」という質問には、特徴的なメイクのカーバケッティ役・桒原さんが回答。
ご自分の右目あたりを指さしたりしながら、「このあたりに紫のシャドウを使っているので、今日はよく見てみてください!」とのこと。
五回ほど塗っているそうです。何度も「紫のシャドウが……」とおっしゃるので、相当なこだわりようですね。
また、「今と逆の性別になったら、どの猫になりたい?」という質問には、全員が回答なさっていました。
村上さんはミストフェリーズ、木村さんはラム・タム・タガー、荒木さんはシラバブをやってみたいそうです。
安宅さんが回答する場面では、その隣で桒原さんがご自分を指しにこやかに「カーバでしょ?」なんて仕草を。
それを見て安宅さんも「カー……バ……?」と話を合わせたり。自分がスーパーダンサーだったらやってみたい役、だそうです。
荒木さんはシラバブとお答えになる前に「今の役(ランパスキャット)と似てるのはボンバルリーナかなと思う、だけど反対の役をやってみたい」とおっしゃっていました。
喧嘩猫ランパスキャット役の荒木さんのシラバブ……ちょっと観てみたいですね。
桒原さんは、体格のいい弟さんがいらっしゃるらしく、家に帰ったら弟さんにリフトしてもらうそうです。『ジェリクル舞踏会』でタイヤの上でカッサンドラとタンブルブルータスが行う振付をやってもらって、弟さんの膝の上に乗るとのこと。
そのときにいつも「カッサになりたい!」と思うらしいです。
「疲れたときの息抜きは?」という質問では、荒木さんの回答がとても印象的でした。
荒木さんは「どうぶつの森」を遊んで癒されているそうです。普段はゲームはなさらないそうですが、何も考えず勝ち負けのない世界を楽しんでいるのだとか。
桒原さんが「こうやってみんなと喋ること」とおっしゃっていたのは、イメージ通りの明るい方なんだなあとほっこりしました。
みなさんとても仲が良さそうで、すごく面白いお話が聞けました。
桒原さんのムードメーカー的な立ち回りもとても素敵でした。
公式での記事はこちら。お写真なども見れます。
まとめ
昨年末にたくさん通ったのですが、実は一か月ぶりの『CATS』観劇でした。
ずっとずっと萩原さんのマンカストラップが観たくて、これを逃したらまたいつ観られるかわからない! と少々無理をして観に行って本当に良かったです。
今のキャストは感動間違いなしです! ぜひぜひ大阪四季劇場へ!
『CATS』大阪公演も残りわずか。次は東京へ行ってしまうので、悔いのないようたくさん観に行けたらいいなと思います。
やすみ